新座市平和展 被爆者と高校生の共同絵画展 「何度も何度も描き直しました」

今年の「新座市平和展」は、広島平和資料館からお借りした被爆者と高校生の共同制作絵画展です。原爆の実相を後世に伝えるため、広島基町高校生は約20年前から被爆者の話と資料等を調べ、筆舌に尽くしがたい体験を63作品に仕上げました。お子さん、お孫さんとご覧になり平和を考える一助になさってください。

8月6日(月)〜15日(水)
市役所市民ギャラリー

人間襤褸の群れの中に
人間襤褸の群れの中に。
(被爆者:児玉光雄、高校生:津村果奈)

千田小学校の防火用水の傍らで、炎で焼かれて立ったまま白骨になっている死体を見た
千田小学校の防火用水の傍らで、炎で焼かれて立ったまま白骨になっている死体を見た。
(被爆者:新宅勝文、高校生:村井華菜子)

「おいしかったよお・・ありがとう」と言って息絶えた

広島大学の大きなグランドには皮膚がずる剥けになった人、爆風で飛んできたがれきが刺さった人等4、500人もの人がいた。3歳くらいの子は全身が大火傷で白くただれ、水をせがまれたので、ヘドロの浮いた水を飲ませると「おいしかったよお・・ありがとう」と言って息絶えた。
(被爆者:新宅勝文)

私がこの原爆の絵の作成を通して苦労したことは、全然見たことがなく、今まで想像したことのない光景を、数少ない資料だけで絵に描き起こすことでした。特に火傷によって白くなる皮膚を描くのが難しく、何度も何度も書き直しました。
新宅さんからあの8月6日から70年の月日が経っても忘れられない辛い記憶を話していただき、その深い心の傷を知り、胸が張り裂けそうになりました。
同時に、私は「原爆」を知っているつもりでいましたが、新宅さんのお話と私のイメージとはあまりにかけ離れており、そんな自分に腹が立ち、情けなく思いました。
私は原爆の絵の制作を通して私たち一人ひとりが原爆に背を向けず、より深く知り、次の世代に継いでもらう「懸け橋」になる世代なのだと改めて実感しました。この絵がきっかけとなって、核兵器のない平和な時代になってほしいと願っています。
(高校生:岡本実佳枝)

(にいざ民報 2018年8月5日 No.1776)