地下鉄12号線延伸の可能性はゼロに近い 大泉学園町〜東所沢までの延伸は、大赤字「発散」

笠原すすむ議員

採算性が成り立たない

地下鉄12号線(大江戸線)は本当に新座市に来るのでしょうか。すぐにでも来るように言う人もいますが、私は可能性はゼロに近いと思います。

練馬〜光が丘まで17年 事業免許から開業まで

鉄道が開業するまでにどのようなことが必要なのでしょうか。鉄道事業法に基づく事業許可申請書には予定路線の起点・終点、主要な経過地、駅の位置・名称の他、誰が事業主体になるのか、収支見積書、建設費の概算書、路線の予測図などが必要です。許可を受けた後、工事施行の認可申請には実測図などより詳細な資料も必要です。

地下鉄12号線の場合、練馬〜光が丘(3・8キロ)については、1974年8月に事業免許を取得。1985年に工事施行認可を取得し、翌年6月に工事着工、1991年12月に開業しています。免許取得から17年、工事施行許可から6年かかっています。

着々と進む練馬区内の12号線
光が丘駅から大泉学園町まで

練馬区では、光が丘駅から大泉学園町までの地下鉄12号線延伸の運動を進めています。都市計画道路補助第230号線という道路を新設して、その地下に地下鉄12号線を整備する計画です。駅も土支田駅、大泉町駅、大泉学園町駅(いずれも仮称)と位置や名称も決定。土支田通りまでの道路は完成、東京外環道路までの用地買収は約88%,大泉学園通りまでの買収は約48%となっています。近年中に事業許可を申請すると見られています。

着々と進む練馬区内の12号線

大泉学園町〜東所沢までは大赤字「発散」
交通政策審議会答申

2016年に、東京圏における今後の都市鉄道のあり方を示す交通政策審議会の答申が出ましたが、12号線については新座市が希望する「光ヶ丘から東所沢」の延伸の可能性はゼロに近いものでした。

表1を見て下さい。「光ヶ丘〜大泉学園町」は費用対効果を考えると効率が良く、工事費などを含めた累積資金の収支は開業後19年で黒字になると分析しています。
一方、「大泉学園町〜東所沢」はずっと赤字で発散です。「発散」とは資金収支が黒字にならず採算性が成り立たないこと。ただ「光ヶ丘〜東所沢」までの一体整備の場合、36年後には黒字になると分析しています。
一体整備について、答申では説明がありませんが、事業許可申請時に、「光ヶ丘から東所沢」と申請することでしょう。練馬区が取り組んでいる「光ヶ丘〜大泉学園町」の事業許可申請がされれば、その時点で「一体整備は無くなった」と考えるのが常識です。
ところが、市は「一体整備という文言が入ったので良い答申がでた。新座市に来る可能性がある」と未だに宣伝しているのです。

表1)交通政策審議会答申の定量的な分析の結果について(抜粋)

大泉学園町〜東所沢までは大赤字「発散」

12号線建設促進基金は廃止すべき(5億円)

新座市は、地下鉄12号線建設基金として5億円積み立てています。6月議会で私は「ずっと銀行に預けられたまま塩漬けになる可能性が高い。延伸が決まってから基金を積んでも決して遅くはない」「財政が大変だとして市民サービスを切り捨てている。財政運営を改めるべきだ」と主張。市は「延伸の強い姿勢をアピールするために基金は必要」と強弁しました。5億円の基金は廃止し市民のために活用すべきです。

(記・笠原進市議)

(にいざ民報 2018年8月5日 No.1776)