最賃引上げと全国一律最賃制度を求める意見書が否決 自民・公明が反対 新座市議会本会議
6月議会定例会で日本共産党が提案した(提案者石島陽子市議)「全国一律最低賃金制度を求める意見書」が政和会(自民党)と公明党、平成クラブの反対で否決されました。この意見書は政府に対して①中小企業を支援し、最低賃金を大幅に引き上げること②全国一律最低賃金制度を導入することを要求しています(傍線部)。共産党の議員以外にも市民と語る会の高邑朋矢議員も賛同者として名前を連ねました。
政和会、公明党、平成クラブは反対討論には立たずに黙って反対し、この意見書を否決しました。
小野市議が賛成討論
日本共産党の小野大輔市議が以下の賛成討論を行いました。
「最低賃金の引き上げについては、ここの案文にあるように、フランス、イギリス、ドイツでは最低賃金は1100円以上となっています。アメリカでは2014年、ワシントン州のシアトル市で最低賃金を15ドルに、1500円以上にしようという運動が広がって、全米で43か所でこの引き上げが起こっています。
最低賃金を引き上げると失業者がふえるのではないかという反対の方もおられると思うのですけれども、イギリスでは1999年から最低賃金を引き上げると同時に、全国一律の最低賃金制度を導入した結果、失業者はふえなかったという報告が出ています。賃金を上げたらどうなったかというと、労働者の生産性が上がったという報告があったそうです。意見書に賛成しても悪いことは起こりません。
地域別はたったの3%
そして、全国一律最低賃金制度の導入についてもいいことばかりです。鹿児島県と東京都では最低賃金の差は224円で、この格差は広がり続けています。格差が広がるほど東京都や都市に労働者が集中して、若い人たちも集中して、地方が疲弊していくという悪循環が日本全国で起こっています。これを断ち切る効果がこの意見書にはあります。
地域別の最低賃金制度を敷いている国というのは世界でも4つしかありません。カナダ、中国、インドネシア、日本、4つです。世界でも3%です。日本は地域別の最低賃金制度を導入している世界でも特異な国となっています。
与党内でも引き上げ論が
2019年2月7日、自民党内で最低賃金一元化推進議員連盟というのが発足し、そのときの基調講演をした講師の方がこのようなことを話しています。『日本は長期に人口が減少している、そういう中で最低賃金を引き上げなければ、経済成長は絶対ない』『同時に全国一律最低賃金制度を導入しなければ、将来の成長は見込めない』と。ぜひ自民党の議員の方にも賛成していただきたいと思います。
最低賃金の引き上げのためには、いろんな国も中小企業に対策をしています。しかし、日本は2018年中小企業への援助というのは年間7億円でした。1社に対する額は200円です。これはやっぱり引き上げていかなければいけないというふうに思います。
アメリカでは、2007年から2009年、41%の賃上げをした際、5年間で8800億円、中小企業に減税をしています。フランスでは2003年から2005年の3年間、中小企業への社会保険料の事業主負担の減免を2兆2800億円かけています。日本もこの方向に踏み出していくことが地方創生にも、経済成長にもなります。」と賛同を訴えました。
(にいざ民報 2019年8月4日 No.1822)
全国一律賃金制度の導入を求める意見書
日本の最低賃金は、都道府県ごとに4つのランクに分けられ、2018年度の改定では、最高の東京都(985円)と最低の鹿児島県(761円)で、時給で224円という3割近い格差があり、その格差は年々広がる傾向にあります。また、日本の最低賃金は、先進諸外国の最低賃金と比較しても著しく低く、フランス、イギリス、ドイツの最低賃金は、日本円に換算するといずれも1100円を超えており、国際的にみて日本の最低賃金の低さは際立っています。(中略)
また、最低賃金の地域格差によって、地方では賃金が高い都市部での就労を求めて若者が地元を離れてしまう傾向が強<、労働力不足が深刻化しています。地域経済の活性化のためにも、最低賃金の引上げと地域間格差の縮小が急務となっています。
よって、政府におかれましては、社会保険料の事業者負担分を減免するなどの中小企業対策を講じた上で、最低賃金額の大幅な引上げを図るとともに、全ての労働者に人間らしい生活を保障するため最低賃金法を改正し、生活費原則に基づく全国一律最低賃金制度の導入を図るよう強く要望します。
提出先は、内閣総理大臣、内閣官房長官、厚生労働大臣、総務大臣。