日本共産党が提案した意見書2本 全会一致で採択
新座市議会定例会6月議会で、日本共産党が提案した意見書2本が、全会一致で採択されました。
『医療機関の経営危機に対する財政支援を求める意見書』は小野由美子市議、『保健所の増設と機能強化を求める意見書』は小野大輔市議が提案しました。その全文です。
医療機関の経営危機に対する財政支援を求める意見書
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて4月7日から実施されていた緊急事態宣言が解除されましたが、解除イコール終結でないことは言うまでもありません。まだ、第2波、第3波の感染拡大も予想され、長期戦を見据えた対策が求められています。
ところが、感染拡大の防止と感染患者の治療を担ってきた医療機関がいま深刻な経営危機に陥っています。全国の病院でつくる全日本病院協会、日本病院会、日本医療法人会の3団体は国の助成強化を強く求めています。
病院が新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるためにベッドを空ければ減収になり、医師・看護師ら医療関係者も新型コロナウイルス感染症患者対応のための体制を確保しなければなりません。一般患者と隔離するためには一般診療や入院患者数の縮小も余儀なくされ、ほとんどの病院で多大な減収が見込まれています。
医療機関の減収分に対する助成を決めた東京都杉並区の試算によれば、1病院当たり月額1億2,800万円から2億8,000万円の減収が生じるとされています。財政的保障の裏づけがないままでは、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れはもちろん、病院経営を続けることはできません。加えて、新型コロナウイルスの影響による受診抑制は感染患者を受け入れている医療機関に限らず、開業医や一般病院でも起きており、患者数が激減しています。政府の医療費抑制政策で厳しい経営を強いられているところに今回のコロナ禍が重なり、収益の悪化によって病院が次々に倒産しかねないのが現状です。
よって、国においては、医療機関の経営危機を打開するために、医療機関に対する大幅な財政支援を行うよう強く要望します。
保健所の増設と機能強化を求める意見書
新型コロナウイルス感染症の拡大という事態を受けて、各地の保健所は帰国者・接触者相談センターのほか、PCR検査、感染者の行動調査、接触者の確認、入院先の調整、健康観察、自粛要請など多岐の業務に取り組み、地域の感染防止対策のうえで重要な役割を果たしています。
しかし、全国保健所長会が今年4月に行った緊急アンケートでも、24時間対応の相談センターの運営は66%が自治体の直営で行われ、そのうち63%は保健所だけで対応するなど、多くの保健所は過大な業務で疲弊しているのが現状です。本県においても県南の6市1町(人口約70万人)を所管する朝霞保健所は40人の職員を擁しますが、8本の電話回線がすべてふさがる時もあり、土・日もなく活動して同保健所だけで約400件にのぼるPCR検査の検体を県衛生研究所に送っています。このように少ない体制で新型コロナウイルス対策に追われているため、精神保健や難病等の相談、食品衛生、環境衛生、医事・薬事等の監視活動など保健所本来の業務に手が回らないという状況さえ各地の保健所で生まれています。
感染症が発生・流行した場合、実際の治療・予防の拠点となるのは地域の専門医療機関や保健所ですが、「医療費抑制」や「公務員削減」を推し進める政府の方針のもとで、感染症指定医療機関は100施設(3,400床)も減らされ、保健所も地域保健法改定前(1994年)の847か所から472か所(2019年度)へとほぼ半分に減らされています。今回の新型コロナウイルス感染症に限らず、わが国でははしかの患者が毎年10万人以上も発生し、風疹の患者数も世界ワースト4位(2012年WHO調査)、HIV感染者・エイズ患者も増加傾向にあるなど、感染症指定医療機関の整備に加え保健所の増設と機能強化が強く求められる状況にあります。
よって国におかれましては、閉鎖・削減されてきた感染症指定医療機関の復活、保健所の増設と専門職員の増員、機能強化をはかるための対策を講じるよう強く要望します。
(にいざ民報 2020年7月5日 No.1861)