コロナ禍で税収が減って「財政が大変」として 並木傑市長 市民の福祉サービス削減を示唆する

新座市政は今、大きな曲がり角に立っています。18歳までの子ども医療費の無料化などの新座市の優れた福祉制度が、「コロナ禍で財政が大変」との理由で大きく後退させようと狙われているからです。

並木市長は、「コロナの影響で税収が大きく減り、試算では歳出(支出)が歳入(収入)を約25億円も多い。これまでの事業を維持していくことはできない。そこで、6つの視点で事業の廃止・休止を検討している。」と言って、第1に、子ども医療費を含めた福祉事業や教育事業の見直しを挙げました。並木市長は、「子ども医療費の無料化は新座市は18歳までだが他市の多くは15歳までだ。高校生の無料化をどうするか検討している。」と発言し、高校生の医療費無料化の廃止を示唆しました。

また、「市民の安全確保以外の工事を先送りにする方向」として、今年度の予算で具体化されている中から、①道路維持補修工事、②道場1丁目集会所建替工事、③大和田運動場多目的広場トイレ建設工事などを中止する補正予算を提案しました。道路改修工事では今年度に改修工事する予定だった12本のうち9本を中止し、約1億3200万円を貯める計画となっています。

さらに、「公共施設の運営の在り方を検討」として、公民館・体育施設・図書館などの「休館・廃止も考えないといけない」(9月議会での市長発言)とまで言っています。「団体への補助金見直しも厳しい内容でやる」(市長)とも言っています。

2か月前の市長選挙では、並木市長はこういった「市政の転換」は何も語りませんでした。選挙が終了したら、今までの市政をひっくり返すような発言を続けるのはおかしいのではありませんか?

コロナの影響で新座市は本当に予算編成もできなくなるのでしょうか?

歳入(収入)が歳出(支出)より約25億円も足りなくなり、現在の福祉制度を維持できなくなるというのは本当でしょうか?

笠原進市議は9月議会の一般質問で「コロナ禍の中だからこそ、福祉を守る予算にすべき」と主張し、約25億円も足りないという市の計算が間違っていると自主配布資料を基に論戦しました。

笠原市議は、「9月の段階で『コロナで税収が減り来年の予算編成ができない。市民サービスを削らないとやっていけない』と大騒ぎしている市は県内どこにもない。新座市のみだ。国も県もコロナの追加対策で補正予算を組んだりしている。新座市でもコロナから市民をどう守るかを一生懸命に考えるべき時で、市民サービスをどう削るかに力を注ぐ時ではない。コロナ禍で税収が減るのは全国共通で、新座市のみではない。税収の補填を含めた地方財政計画は12月に示されるのが通例だ。それが判明しない9月の段階で、『財政が大変だ』と大騒ぎするべきではない」と述べました。

続いて、自主配布資料に基づき市の計算の誤りを指摘しました。

①市は令和2年度の税収が元年度と比べ約14億円減ると試算している。リーマンショック時(平成20年)の資料を参考に令和2年度の減収率を26・5%と試算したためだが、法人市民税とたばこ税・軽自動車税・地方消費税交付金など合わせて計算したため間違いが生じた。たばこ税・軽自動車税などが26・5%減ることは無く、個別に計算すると減収分か減る。令和2年度の減収分の補填を全く計算していないのも問題だと笠原市議は指摘しました。

②財政調整基金は毎年3月議会で補正増されている。昨年は約4億6400万円、一昨年は約7億9100万円補正増された。今年度は0というのはおかしいという笠原市議の指摘に財政部長は「金額の予側がつかないので計上しなかった。」と答弁。笠原市議は「昨年と同様と試算しても4億6000万円も収入を隠している」と指摘。

③令和3年度当初予算の試算でも「大和田2・3丁目の土地区画整理事業によって固定資産税は令和3年度に約2億8000万円増加する」と従来説明してきたのに歳入では計上していないなど歳入をなるべく少なく試算している。一方歳出では投資的経費は大きく減りそうなのに令和2年度と同額とし、生活保護が大幅に増えるとするなど歳出をなるべく大きくなるように試算している。

笠原市議は「新型コロナウィルスの本市財政への影響という試算は正しくない。試算を見直して再度提出してほしい。」と要望しましたが、並木市長は「笠原議員の試算もあろうが私たちはこのように考えているので改めるつもりはない」と答弁し、市民サービス削減の方向を進める考えを示しました。

新座市政は重要な時期に来ています。日本共産党は市民に実情を知らせ、市民と一緒に新座市の大切な福祉制度を守るためにがんばる決意です。

(にいざ民報 2020年9月27日 No.1872)