厚生常任委員会、福祉事業の削減・廃止を採択 公明党・政和会・由臨会はひと言の質疑もなく賛成
新座市議会12月議会の本会議(2日)厚生常任委員会(3日)で、福祉事業12項目の条例案が審議され、日本共産党市議団は全ての提案について質疑し、「コロナ禍で市民の暮らしが大変な時に、福祉は削減すべきではない」と論戦し反対しました。公明党、政和会、由臨会はひと言の質疑もせず賛成しました。質疑の内容を紹介します。
新座市重度心身障がい者福祉手当支給条例(65歳以上で新規に障がい者福祉手帳取得した者を除外、非課税世帯は減額)
小野大輔市議は、「新規の65歳以上の障がい者手帳を取得した者を、なぜ対象外にするのか」と質問しました。
市長は、「後期高齢者になると医療費の自己負担額が軽減され、年金を満額受けられる。この制度は県の補助の上乗せで支給するが、県内では14自治体が行っている。高い水準を中程度にする。再開の予定はない。痛みをみんなで分かち合いたい。」と述べました。
小野市議は、市のアンケート調査に寄せられている悲痛な声を紹介し、「障がい者の声を聞かないのか。市の貯金のために困難な人に負担を押し付けるのでは、福祉の増進は図れない。コロナ禍で大変な状況のなか、今こそ市民の暮らしを守るとき。どさくさに紛れて福祉の削減はすべきではない。」と追及しました。
小野由美子市議は、委員会質疑で「困っている人に手を差し伸べるのが行政の仕事だ」と強調しました。
重度心身障がい者医療費支給条例(非課税世帯の入院時食事代補助を廃止)
小野大輔市議は、「朝霞市では入院した時のお見舞金も支給している。新座市は充実どころか他市よりも支援が薄い市になってしまう。市の調査では、4割が入院費用に困ったと答え、前回よりも増えている。非課税世帯の負担軽減は、市民に求められている制度ではないのか。」と質しました。
市長は、「今まであったものがないというのは困ると思うが、理解していただくしかない。」と述べました。また、「市のアンケートの内容は今回の改正に反映させたのか」との再質問に対し、総合福祉部長は、「障がいのある方は増えており、長期的に考えれば、削減は持続可能な制度の維持にとって必要だ。」と述べました。
子ども医療費支給条例(高校生年代の通院医療費を除外、非課税世帯の入院時の食事代補助を廃止)
嶋田好枝市議は、「18歳まで医療費が無料で、子育てにやさしい街だから新座に引越してきたという市民に何人も会った。子育て世帯の期待を裏切るのではないか。子ども医療費の削減は、シティプロモーションの『選ばれるまち』にも矛盾する。他市でも23市町村が入院、通院とも無料で広がっている。今まで通り制度を続けるべき」と訴えました。
市長は「平成25年に18歳までの入院、通院の無料を決め、維持してきた。市民の期待を思うと心苦しい。財政が好転したところで、復活も考えていきたい。」と述べました。
小野由美子市議は、委員会質疑の中で「18歳までの医療費無料制度は県内で1番最初に行った。18歳くらいまでは身体の発達途上にあり、大事な時期。今後も継続してほしい」と訴えました。
ひとり親家庭等医療費支給条例(非課税世帯の入院時の食事代補助を廃止)
辻実樹市議は、委員会質疑で「ひとり親家庭の貧困問題は社会問題にもなっている。復活は考えないのか。また困っている人のため制度は残すべきだ。」と求めました。
担当課長は「影響額は令和元年度は27件で7万1210円。福祉3医療(重度障がい者医療費助成、子ども医療費助成、ひとり親家庭等医療費助成)との整合性と合わせて行うもの。復活は考えていない。」と述べました。
辻市議はさらに「非課税世帯の制度を削るのは福祉の後退、市の財政からみればわずかな金額だが当人にとっては大きい。福祉の増進はしないのか。」と再質問しました。
総合福祉部長は、「一般的に障がい者は増えていく。今回の非常事態宣言のもと、高水準のものを中程度にして、適正化する。」と述べました。
敬老祝い金支給条例(100歳に達する年度に1万円を一回限りの支給に)
嶋田好枝市議は、「市民は敬老祝い金を楽しみにしている。大事にされていると感じるし、感謝や敬意の思いが表れている。今回の削減は恥ずかしい、こんな冷たい仕打ちでいいのか。市民感情についてはどう考えているのか。」と質問しました。
市長は、「長寿を全うするのは大変良いことだが、今の財政状況を考えると難しい。復活は考えていない。」と述べました。
重度要介護高齢者手当支給条例(非課税世帯を減額、課税世帯を廃止)
石島陽子市議は、「この制度は身体上、精神上著しい障害がある場合に支給されるもの。重度の方は一つの手当だけではなく他のサービスも利用しながら生活している。市は介護保険の自己負担軽減の補助もなくした。おむつ代補助も減額した。老々介護も大きな課題になっており、苦労しながら何とかやっている人たちに追い打ちをかけるもので本当に冷たい。手当てを削っても支障ないと考えるのか、背景を知ったうえで削っているのか。」と追及しました。
市長は「福祉政策で低所得の皆さんを支えることは大事だと考えている。財政的な見込みを踏まえ、我慢してもらうように対応している。」と述べました。
難病患者支援金支給条例(廃止)
笠原進市議は、「13市町村、3分の1の自治体がやっている制度。新座市は40市のなかで上位にいた。前市長が頑張ってやってきた。並木市長は、前市長の作った制度を引き継ぐと思っていたがことごとく壊している。こんなに悪くなることにじくじたる思いはないのか。制度をなくすことで難病患者の実態の把握ができなくなるのではないか。」と質問しました。
市長は、「前市長から引き継いだ時からお金がなかった。高福祉、低負担で大いに福祉政策をやってきて、新座の財政が厳しくなってきた。」と述べました。
総合福祉部長は「朝霞保健所窓口の難病患者医療費助成を受けている方は1200人いる。案内チラシを置くなどで制度を周知してきたが、実際に支損金を受けているのは約700人。500人は申請がなかった。当事者との縁がなくなるのは事実で、保健所からも情報はないのが現状。今後、先進市などを参考にしていきたい。」とのべました。
二日間の審議を通して、並木傑市長は、今までにない規模での福祉事業の削減について、「財政が大変なので理解していただきたい」「高い水準の福祉を中程度にして適正化する」という答弁に終始しました。しかし、財政問題では市の「25億円足りない」という理屈も論戦の中で破綻しました。新座市が市民との協働で、築いてきたかけがえのない福祉制度を削る必要はありません。本会議、厚生常任委員会の二日間の審議で公明党、政和会、由臨会は「ひと言の質疑」もせずに賛成しました。
日本共産党新座市議団は、市民の命と暮らしを守るために力を尽くします。
(にいざ民報 2020年12月13日 No.1882)