市民サービスを「コロナで市税等の大幅減収」という間違った宣伝で廃止、削減することは許さない

日本共産党新座市議団は1月19日に新座市長に「市民サービスなどの廃止・削減にかかる要望及び質問」を提出し、28日に回答がありました。大半は先週の「にいざ民報」でお知らせしましたが、残っていた質問4と回答は次の通りです。

質問4

「総務省は令和3年度の地方税の減収分は、地方交付税と臨時財政対策債で確保すると説明しています。武田総務大臣は11月17日の参議院総務委員会で、『必要な行政サービスはどういう状況でも展開されるべき。財源は確保する』と述べています。市長は、新座市のやり方は武田総務大臣の答弁に反していると自覚していますか。財源の確保について、総務省は信用できないと考えているのでしょうか」

質問4についての回答

「普通交付税及び臨時財政対策債は、基準財政需要額と基準財政収入額との差額を基に算定されます。また、12月議会の本会議でもご説明しましたとおり、この基準財政需要額及び基準財政収入額は、本市の実際の歳入・歳出額ではなく、各地方団体が標準的な水準の行政を行うために必要な額を理論的に算定されるものであり、本市の独自事業など、国が想定する以上の事業を見込んだものではありません。総務大臣の答弁はあくまでも全国の各地方団体が標準的な水準の行政を実施していくために必要な財源をこれまでと同様に確保するという趣旨であり、本市が独自に実施する独自事業等各地方団体の個別の事情に対応した財源を確保すると述べたものではないと理解しています」
(所管・財政課)

市税等の納入状況は順調。予測の段階で市民サービスを削るな

読者の皆さんには、基準財政需要額などふだん眼にしない用語が並び、理解しにくいと思います。9月市議会で市長が「コロナで市税等の大幅な減収が見込まれ、このままでは令和3年度の予算編成ができない。福祉などの市民サービスの廃止、削減をせざるを得ない」と表明したことが始まりでした。

共産党市議団は、「現時点(昨年9月)では、市税等の大幅減収は予測にすぎない。リーマンショックの時は市税の減収以上の地方交付税が補てんされた。今回の減収分も国が補てんすると思う。予測の段階で市民サービスの削減などするべきではない。」と主張しました。12月議会では「25億円の財源不足は間違い」ということをはっきりさせました。令和2年度の市税等の納入状況は順調で、市財政課の見通しが間違っていたことも判明しました(1月24日の「にいざ民報」を参照)。それでも市長は、次々と市民サービスを廃止、削減してきました。

総務大臣『税収が減収しても行政サービスを守れ』の声を受け止めて

質問4の中心点は、コロナで地方税が減収となった場合、国は地方交付税と臨時財政対策債で確保(補てん)するから、行政サービスは展開(守る)されるべきと言っていることをどう考えるのか、ということです。回答は質問には答えず、「標準的な水準の行政を行うためのものであり、本市の独自事業など、国が想定する以上の事業を見込んだものではありません」と一般論を述べ、新座市の独自事業に地方交付税は対応していないと強調しています。しかし、この回答は、質問の本質をはぐらかしています。地方交付税の算定は各市の独自事業に対応していないのは、なにも令和3年度予算にはじまったことではありません。令和元年度も2年度も同じです。

「総務大臣の答弁は、地方団体が標準的な水準の行政を実施していくために、必要な財源をこれまでと同様に確保するという趣旨であり」(回答)とあるように、「コロナで万一に税収が減収しても補てん(確保)するから心配せず行政サービスを守れ」という総務大臣の声をしっかり受け止めることが大切だと思います。須田市長時代に創設され、並木市長のもとでも令和元年度、2年度に続けられてきた市民サービスを「コロナで市税等の大幅減収」という間違った宣伝で廃止、削減することは許されません。


地方交付税とは

市民のだれもが、教育、福祉、保健衛生、ごみ処理、治安、消防、道路、上下水道などさまざまな行政サービスの提供を受けています。こうした行政サービスのほとんどは市町村や都道府県(地方公共団体)が提供しています。政府は年金や防衛費などを支出しています。政府全体の支出に占める地方公共団体の支出の割合は約6割となっています。

一方、国民が収めた税金は国税が6割、地方税が4割です。先はどの国と地方の仕事の割合(4対6)に見合った税源配分ではありません。地方交付税や国庫支出金等として国から地方に移転する財源があってこそ、地方は6割の仕事ができます。

国には1700以上の市町村と47都道府県があります。その規模、財政力は千差万別です。にもかかわらず、すべての地方公共団体は一定水準の行政サービスを提供しなければなりません。地方税収が少ないからといって、義務教育の年限を短縮するわけにはいきません。したがって、財源が不足する団体に対しては財源を保障する仕組みがどうしても必要になります。

この仕組みが地方交付税です。地方交付税の原資は所得税、法人税、酒税、消費税、たばこ税、地方法人税です。

臨時財政対策債とは

各年度において地方財政全体での財源不足が見込まれる場合には、地方財政対策により補てん措置を講じることになっています。しかし、地方交付税の原資である国税収入も不足しているのが現状です。平成13年から、地方一般財源の不足に対処するため地方債を発行することが認められました。これが臨時財政対策債です。元利償還金については後年度の基準財政需要額に全額算入されています。

(にいざ民報 2021年2月14日 No.1890)