新座革新懇講演会「憲法壊す政治と生かす政治」 慈恵医大 小沢隆一教授

新座革新懇は5月29日、慈恵医大の小沢隆一教授を迎えて「憲法を壊す政治と生かす政治」と題した講演会を畑中公民館で開き、およそ70人が熱心に聞き入りました。市瀬陽三代表世話人は開会あいさつで、講師の小沢氏が学術会議会員を菅政権に任命拒否された6人の1人だと紹介。財政非常事態宣言を発出した並木市長など憲法を壊す政治ではなく、学習を力に憲法を生かした政治の実現を呼びかけました。

小沢氏はまず学術会議について「政治と独立した学術の立場から意見を述べて、国民にも問題提起していくという貴重な役割を担っている」と指摘。菅首相が任命の裁量権は自分にあると言うが、実質的な会員の選定・罷免権は学術会議自身にあることが学術会議法ではっきりしている」と述べました。

施行74年を迎えた日本国憲法は「戦争への痛切な反省の上につくられた」と強調した小沢氏。「9条を定めたこの憲法を安倍晋三政権が一貫して敵視してきたが、市民と野党の結束した力でこの策動を阻み、退陣に追い込んだ」と述べるとともに、後継の菅政権も憲法破壊の姿勢をあらわにしていることに警鐘を鳴らしました。危険な動きとしてあげたのが、安保法制(戦争法)を発動して日米軍事同盟の強化を進めていること。「バイデン米大統領のもとに菅首相が真っ先に馳せ参じて会談して発表した共同声明は、日米同盟をインド太平洋地域から世界全体へ広げ、台湾海峡の重要性も強調するなど軍事的緊張を高め、中国に対するアメリカの戦争に日本が加担する危険をかつてなく増大させる」と厳しく批判。憲法9条のもと、国際法に基づく平和的な外交交渉での問題解決を強調しました。

小沢氏は「今日のコロナ禍のもと、医療の拡充や国民の命と暮らしを守ることこそ緊要である。2021年度予算はさらなる軍拡予算となっているが、これらをコロナ対策や福祉、教育など命と暮らしを守るために回すべきだ」と指摘。今こそ対米従属から脱した政府の樹立が求められていると強く訴えました。

コロナ禍に関連して小沢氏は「政府に憲法を守らせるという立憲主義の課題が新たな状況を迎えている、コロナで苦しむ国民の命、暮らし、仕事を守るために今こそ憲法に規定された人権を尊重する政治が切実に求められている。こうした政治の拠り所が憲法25条であり、健康権という概念がこの中に込められている。13条についてもジェンダー平等を含め『すべての国民は個人として尊重される…』と謳っており、コロナから人々の命と暮らしを守ることを政治の責務とすることだ。休業要請にも必要な補償や支援を行うのは当然だ」と強調しました。

また「憲法には男女平等を定めた24条や教育の権利を保障する26条、勤労権の27条、労働基本権の28条など『社会権』がそろっており、これらの規定が今、コロナ対策をはじめ重要な役割を果たしている」と述べました。

最後に小沢氏は「菅政権の憲法破壊と明文改憲に対して『改憲ノー』の声を地域・草の根からあげよう」と呼びかけました。4月の3つの国政選挙で野党共闘が成果をあげていることを示し「来る総選挙では市民の力で憲法を破壊する政治から憲法を活かす政治への転換を実現しよう」と訴ました。

慈恵医大 小沢隆一教授
慈恵医大 小沢隆一教授

【文責 革新懇事務局 綾部健】

(にいざ民報 2021年6月6日 No.1904)