75歳以上の医療費窓口負担2割に 中低所得者を狙いうち

10月から75歳以上の高齢者のうち、一定以上の所得のある方の医療費窓口負担が1割から2割へ引き上げられました。9月には埼玉県後期高齢者医療広域連合から、新たな負担割合が記載された「保険証」と「制度説明のお知らせ」が75歳以上の方に郵送されていますが、怒りの声や制度がよくわからない、という声が市議団に寄せられています。

2割になるのは、①世帯の中で75歳以上の方が1人だけの場合、年収200万円以上(課税所得28万円以上)、②夫婦とも75歳以上といった2人以上の世帯等の場合、年収320万円以上(課税所得が多い方が課税所得28万円以上)です。世帯単位で決まるので、どちらかの年金が少なくても2人とも2割負担です。

岸田政権は2025年9月末までの3年間は、配慮措置として負担が増えるのを月額3千円までに抑えると言っています。しかし、複数の病院や薬局を利用した場合は、いったん全額を窓口で支払い、約4ヵ月後に上限の3千円を超えた額を登録した口座に払い戻す仕組みです。「3千円が銀行に振り込まれる」と誤解している方の話も聞いています。「説明のお知らせ」に還付金詐欺の注意喚起を載せなければならないような高齢者の制度は問題です。しかも入院には配慮措置がありません。年金引き下げと物価高とトリプルパンチになる、医療費2割への引き上げはやめるべきです。

Aさんは「自分の年金は少ないけれど、配偶者と合算すると年収320万円以上になるので自分も2割負担になってしまう。『こういう人はお気の毒なんです』と市役所で言われた。いったん今までの2倍の医療費を支払うのは大変だ。通院を我慢する人が出ないか心配だ」と話します。

Aさんの例です。4月に負担した医療費は、病院(3190円)と薬局(4730円)で合計7920円です。10月からは2割負担になり、病院(6380円)と薬局(9460円)で合計1万5840円になります。配慮措置で実際に負担するのは1万920円(7920円+3000円)になります。いったん窓口で支払った合計額1万5840円との差額4920円が、約4か月後に口座に振り込まれます。

(にいざ民報 2022年10月2日 No.1963)