安保3文書ですすめられる自衛隊の基地強化
7月14日(日)、日本共産党西部東地区委員会は、塩川鉄也衆議院議員を講師に「戦争国家づくりと自衛隊基地の変貌」と題して基地問題市民学習会を開催しました。
安倍政権の安保法制は戦争国家づくりの法制面の整備を行うものだったが、岸田政権の安保3文書は実践面で「戦争国家づくりを推進するものとなっている。敵基地攻撃能力保有の最大の目的の1つは、敵基地攻撃とミサイル防衛を同時に行う、米軍主導の「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」への参加にある。米インド太平洋軍の「IAMDビジョン」の公式解説論文には、陸海空、宇宙、サイバー、電磁波など全ての領域情報を一元的に統合して「攻撃すべき目標」を迅速に決定するシステムに、インド太平洋地域の全ての同盟国を組み込む、と述べている。同盟国に「主権の一部を切り離させる・・政府を挙げてのアプローチが必要」と明記し、日本の主権まで米国に差し出すことを求めている。
岸田政権が防衛力強化で重視する能力は7つあり、●朝霞駐屯地の電子作戦隊(2022年に新編成)は、「領域横断作戦能力」の一環としての電磁波能力の強化。●朝霞駐屯地の中央情報隊(2018年に市谷駐屯地から移駐)と大井通信所(ふじみ野市)は、「指揮統制・情報関連機能」の一環としての情報収集・分析等機能の強化。●朝霞駐屯地と大井通信所は、「持続性・強靭性」の一環としての基地強靭化を行うとしています。朝霞駐屯地の建替・改修の建物は合計167棟で、ほぼ全ての建物を今後10年間に700億円以上の経費をかけて更新・強靭化する計画です。
土地利用規正法(重要土地等調査法)は、自衛隊・米軍基地や原発など「重要施設」の周囲1キロ及び国境離等で生活する市民に対して、土地や建物の利用状況を調査するもので、利用を中止させることもできる。
米軍と一体化した司令部機能が集中し、戦闘部隊も置かれている自衛隊基地が集中する埼玉県西部・東京多摩地域は、首都圏でありながら注視区域・特別注視区域が沖縄、長崎に次いで多い。埼玉県の「国民保護計画」には、朝霞駐屯地や大和田通信所、キャンプ朝霞など自衛隊・米軍基地を列挙して「こうした防衛上の重要施設は、武力攻撃等の攻撃目標とされる可能性が高いと考えられ、周辺住民の避難について配慮していく必要がある」としています。
塩川衆議院議員は、攻撃されない状況にするための「対話の習慣」をつくる先頭に立つことが求められていると述べました。
(にいざ民報 2024年7月21日 No.2040)