厚生常任委員会・行政視察 豊明市「地域包括ケアシステム・重層的支援体制整備事業」 茨木市「医療的ケア児の保育に係る取り組み」

新座市議会厚生常任委員会(小野由美子委員長)は、10月8日愛知県の豊明市、9日大阪府茨木市を行政視察しました。

豊明市は人口約6万8千人で、市内には日本最多の病床を有する藤田医科大学病院があります。「地域包括ケアシステム・重層的支援体制整備事業」を視察しました。

豊明市のめさす地域包括ケアの方向性は、できるだけ本人の「ふつうに暮らせるしあわせ」を支えることでそのために役立つものを見つける、探す、無ければ創り出すことだと説明されました。

2015年の介護保険制度の改正で、要支援認定者の通所介護、訪問介護は市町村ごとの総合事業に転換されました。豊明市では要支援認定者数は10年で4・2倍に増え給付額が大幅に増加しました。しかし、要支援1の認定者の1年後の要介湿度を調べたところ、57%が悪化、4人に1人は要介護状態となっていることが明らかになりました。この結果に私たちは驚き支援方法を再考するきっかけになりました。

多職種合同ケアカンファレンス(地域ケア会議)を毎月実施しています。誰でも自由に参加でき、参加者はすべて無報酬、アドバイザーは不在ですべての職種はフラットな関係です。大きな円陣を作って、地域包括支援センター、ケアマネージャー、専門職はもとより、病院実習生や民間企業の参加者など、毎回60から80名が参加しています。このケースを考えるのではなく、「このケースで考える」ことにしています。よくある事例をみんなで検討し、次に生かすことを目的にしています。

また、民間企業と協力して新しいサービスを開拓しています。駅前に店舗を構える「コープあいち」は市との協議で、店舗で購入した商品をすべてその日のうちに配達する「ふれあい便」を始めています。現在14の民間業者と「公的保険外サービスの創出・活用促進に関する協定」を締結しています。

豊明市おたがいさまセンター「ちゃっと」の活動も教訓的でした。「ちゃっと」は、市民の日常生活のちょっとした困りごとを市民同士おたがいに助け合う仕組みです。調理、掃除、ゴミ出し、買い物などをサポーターが行っています。医療生協生活協同組合、JA、コープあいちなど協同組合を核としてサポーターが426名(8月末)もいて、6人のコーディネーターで支援のマッチングをしているとのことでした。「ボランティアではなくサポーターだということです」と担当者は説明します。サービスではなく住民の互助活動として展開しています。現在は助ける側だが、やがて助けてもらう側になる。おたがいさま講座という生活サポーター登録説明会やサポーター報告会を行いニュースも発行しています。

茨木市は「医療的ケア児の保育に係る取り組み」を視察しました。経管栄養、吸引、人工肛門の管理など日常生活を営むために医療的なケアが必要な子どもを医療的ケア児と呼びます。茨木市では平成6年から医療的ケア児を受け入れています。今年度は、公立の保育所で5人、認定こども園で4人、私立の保育所で1人、認定こども園で1人、11か所で11人を受け入れています。医療的ケアを行うのは看護師で主治医の指示や指導を受けた範囲内で実施しています。7月から事前相談会を行い、10月に入園申請、医療的ケア検討会議(関係職員と医師で構成)で受け入れの可否を検討します。主治医意見書、面接と体験保育、集団保育への対応など総合的に検討します。医療的ケアの内容が保育施設で対応が可能であると判断できれば、医療的ケアが実施できるよう必要な環境の整備を行います。Aちゃんの事例報告で、食事接種量が増え、よく笑うようになり活動量も増えたこと、声をかけてくれた友だちの方へ自分から行くようになったなど、成長の様子が語られました。周囲の子も医療的ケア児とのふれあいのなかで成長していることも報告されました。

【笠原進市議・記】

(にいざ民報 2024年10月20日 No.2051)