新座革新懇主催・憲法講演会 「労組と市民と野党」の共闘で、立憲政治をとりもどそう

講演する清水雅彦氏
講演する清水雅彦氏

5月10日に、新座革新懇主催の憲法講演会が畑中公民館で開催されました。「石破政権と憲法改悪の動き〜トランプ政権への従属と自民政治下でどうなるか〜」と題し、清水雅彦さん(日本体育大学教授)が講演しました。

国会の憲法審査会の動向から話されました。2021年衆院選で、自民党が安定多数、維新の会・国民民主の議席増で改憲勢力が約4分の3となり、従来は通常国会の予算委員会開催中は憲法審査会を開催しなかったのに、与党と維新・国民民主主導で、衆院ではほぼ毎週開催された。改憲勢力は9条改憲は困難とみて、緊急事態条項の憲法への明記ということで改憲を狙っている。憲法25条がありながら、新自由主義改革を強行したことが問題で、全国の保健所数は852か所(1992年)から468か所(2024年)に激減した。

次に、自民党の9条改憲案について話されました。自民党は2005年10月「新憲法草案」を発表。自衛隊を保持すると明記した。2012年4月には「日本国憲法改正草案」を発表。国防軍を保持すると明記した。2018年3月には、新たな改憲案が発表された。そこには、第9条2項の改憲案が示され、「国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として・・・自衛隊を保持する」と明記。「自衛の措置には、集団的自衛権が含まれていることは言うまでもありません」と自民党内では説明されている。また、「国民の安全」が追加されたのは、自衛隊の活動を国内に限定しないことの正当化だと話しました。2015年憲法研究者286人のアンケートでは、自衛隊存在違憲が57%、合憲26%、その他17%で、学者の多数は自衛隊違憲。野党・マスコミの追及で、政府は常に自衛隊は軍隊ではなく、専守防衛の「実力」組織なので憲法に反しないという説明責任があった。9条2項が改められれば、違憲の「安保法制」は正当化され、集団的自衛権の行使も正当化される。

3番目に2022年の「安保関連3文書」の内容と問題点を話されました。我が国の防衛体制の強化が唱えられ、「2027年度において、GDPの2%に達するよう措置を講ずる」と記述された。自衛隊の実態は、世界の軍事費ランキングで第8〜10位、GDP比2%となれば日本は世界第3位となる。防衛費は22年度までは5兆円台であったが、25年には8・7兆円に急増した。自衛隊は軍隊ではなく「実力」にすぎないとの説明と大きく矛盾している。矛盾解消のため改憲が狙われているが、大学の無償化は1・8兆円で解決できる。小中の給食費無償化は0・5兆円で実現できる。「防衛費の大幅増ではなく、教育福祉にまわすことを主張しよう」と呼びかけました。

最後に、今必要なことは、「労組と市民と野党の共闘」だ。連合所属労組と全労連所属労組の統一行動の実現が必要。分裂していた5月3日「中央」の憲法記念日集会で統一集会が実現している。労組と市民の運動の土台ができたことで、2016年から立憲野党の共闘ができるようになった。2016年からの国政選挙の結果と課題を語り、「自民党は権力をとるために大同団結しているが、左翼、リベラルは対立、分裂を繰り返している。批判勢力に存在意義はあるが、政策実行のためには国会で多数派にならないと無理だ。学習会に参加したことで満足せず、若者に働きかけることを心がけよう」と訴えました。

【笠原 進 市議・記】

(にいざ民報 2025年5月18日 No.2076)