「社会保障は国民の権利」平野方紹氏が講演、現政権の政策を批判

3月28日、新座市社会保障推進協議会の学習会で、埼玉自治体問題研究所理事長の平野方紹氏が「これからの社会保障」をテーマに講演しました。内容を紹介します。

平野氏は冒頭、自身が元県庁職員として福祉現場や行政に携わってきた経験を紹介。「社会保障は本来、国民の暮らしを守るための制度であり、権利として保障されるべきものだ」と強調しました。

高市政権の福祉政策は空虚

講演では、高市政権の社会保障政策について厳しく批判。「内容が空虚で、社会保障が経済政策に従属している」と指摘し、「国民のためではなく、経済を支えるための社会保障になっている」と述べました。

医療費抑制の保険外し

また、医療費抑制策として進められているОTC類似薬の保険外しや、高齢者負担の見直しなどについて、「負担増が先行し、必要な医療が受けにくくなる恐れがある」と懸念を示しました。さらに、介護分野については「制度は全体として黒字であるにもかかわらず、利用者負担の引き上げが議論されている」とし、その背景に2040年の高齢化ピークを見据えた“先取りの抑制政策”があると分析しました。
一方で、国民健康保険については「制度設計が時代に合っておらず、低所得者中心の構造となり赤字が拡大している」と問題点を指摘。「制度の見直し無しに負担増だけを求めるのは限界だ」と述べました。
平野氏は、高齢化社会では医療や介護の需要増加は避けられないとし、「問題は医療費の多さではなく、安心して必要なサービスを受けられないことだ」と強調。自己責任を強める政策に対し、「それでは社会保障とは言えない」と批判しました。
講演の前半の最後に、「社会保障は世代を超えて支え合う仕組みであり、財源も本来確保できるはずだ」と述べ、「暮らしを守る視点から制度を見直していく必要がある」と呼びかけました。

講演する平野方紹氏
講演する平野方紹氏

埼玉の実態から見える地域福祉の課題 ―「自己責任」では支えられない社会へ―

埼玉県の地域構造や人口動態を見ていくと、社会保障のあり方が大きく問われていることが浮かび上がります。県内は、圏央道を境に性格が大きく異なる。南部は人口が集中し、地価も高く、交通量も多い、一方、北部は緑が多く、人口減少と高齢化が進みます。実際、市町村合併も北部で大きく進み、地域の姿そのものが変わってきました。

人口増加も県全体で均一ではありません。増えているのは南部の一部地域に限られ、広い面積で見れば減少傾向にあります。新座市は中間的な位置にあり、人口は増えているものの、その中身は一様ではありません。例えば、隣接する朝霞市や和光市では、現役世代や子どもが多いのに対し、新座市は「中間型」である。高齢者割合や単身世帯の状況も異なり、同じ地域圏でも性格は大きく違います。

全国一律の制度では対応できない時代において、地域の実情に即した社会保障、そして人と人とのつながりをどう築くかが問われています。

「ケア」と「支えあい」の地域づくりを

新座市周辺のようなベッドタウンでは、現役世代が昼間に地域を離れ、高齢者だけが残りやすい構造があります。「地域で支え合う」仕組みは現実には成り立ちにくく、コロナ禍は、社会が医療・介護などの「ケア」と人と人の支え合いによって成り立っていました。孤立を防ぎ安心して暮らせる地域をつくるためには、人がつながる場づくりと公的支援の充実が欠かせません。 安心して暮らせる地域をつくるために、今こそ「ケア」と「支え合い」を軸とした地域づくりが求められています。

学習会の様子 中央公民館 講義室
学習会の様子 中央公民館 講義室

(にいざ民報 2026年4月12日 No.2115)