地域でつながり、当事者と家族の『リカバリー』を

4月27日、社会福祉法人にいざ後援会、精神障害者家族会やすらぎの会定期総会に参加しました。午後の研修会テーマは「地域とつながることの大切さ〜当事者の自立に向けて〜」。講師は埼玉県立大学の横山恵子先生。

日本は先進諸国で唯一、入院中心の精神科医療が残る

1918年、精神障害者が『座敷牢』に閉じ込められていることに胸を痛め、医師の呉秀三は「我が国の何十万の精神病者は、実にこの病を受けたるの不幸の他に、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」と有名な言葉を残しました。それから100年経っても、寝屋川市で統合失調症の33歳の長女を監禁し、衰弱死させた事件、三田市の障害のある40代の長男を木の檻に監禁した事件など、精神障害者の痛ましい事件はなくなりません。

これらの事件の背後には、孤立した毎日を送る当事者、家族の置かれた実態があり、病気への偏見や医療・福祉の不十分さがあることを社会的に認知されるようになってきました。

孤立化する家族を救え!

全国精神保健福祉会連合会の2018年調査によると、障害を抱えながら地域で暮らすための地域サービスは不十分で、諸外国に比べ家族との同居が多い(76%)のが実態。家族は地域の中で孤立し、自分の生活や人生を犠牲にして日常的ケアを行っている。調査では「サービスを何も利用していない」が4割、「就労している」が8.6%。

引きこもりの長期化により本人と親が高齢化し、支援につながらないまま孤立してしまう「8050問題」。その解決のために、だれかとつながる、支援体制の強化が必要。所沢市では2015年10月から保健型アウトリーチを開始しました。多職種で福祉や医療につながれず孤立している人たちへ訪問し、サポートする体制です。また、春日部保健所を中心に家族会が設立されました。

「家族がつながる、つなぐ」でリカバリーを

リカバリーとは、『単に疾病から回復するということではなく、病気や健康状態がどうあろうとも、希望を持ち自分の能力を発揮して、自ら選択できるという主観的な構えや指向性』。

家族のリカバリーは、同じ立場の家族との出会いによって変わる。自らが希望を取り戻し、自分なりの生きがいや生活を取り戻していくために、専門家と家族(会)がお互いの強みを活かし、それぞれの立場から支援しあう関係が必要であるし、構築していこうと呼びかけられました。

定期総会、研修会には石島よう子市議、辻みき市議が参加し、厚生常任委員長として石島議員があいさつをしました。

(記・辻実樹議員)

講師 埼玉県立大学の横山恵子先生

(にいざ民報 2019年5月19日 No.1812)