財政非常事態宣言は必要なし 令和3年度の決算審査
市税収入減らず、宣言後1年半で財調(預貯金)70億円増
令和2年10月1日に「コロナにより市税等が大きく減る見込み」として、並木市長は財政非常事態宣言を発出し、令和3年度予算について歳入が歳出と比べて25億円も足りない。歳出を削る必要があるとして、福祉や市民サービスを減らしました。財政非常事態宣言を解除したのは、令和4年3月31臼で1年6か月後でした。
宣言から半年で約24億円増
財政調整基金(市の預貯金)は、財政非常事態宣言を発出した時点での見込みでは、半年後の令和3年3月31日(令和2年度末)に「5億1500万円となる」と説明していましたが、実際には、29億4120万円となりました。さらに1年後の令和4年3月31日には75億2167万円となり新座市50年の歴史の中で最高額となりました。
9月5日の市議会本会議での決算審査の中で、笠原進市議は、「財政非常事態宣言の1年6か月の中で財政調整基金(市の預貯金)が70億円も増加した理由は何か。5億円余りしか財政調整基金がなく財政が大変と宣言していたのに、なぜ見通しが70億円も違ったのか」と質しました。
並木市長は、「歳出を抑制したため財政が好転した。政府がコロナ対策の政策を実施したため、税収が減らないなどの効果を生じた」と答弁しました。
笠原市議は、「高校生の通院費補助を中止したり、障がい者への福祉手当をカットしたりした歳出削減も財調が増えた原因ではあるが、市税などが減収ではなく増収になったことの方が大きな要因ではないか」と再度質問しました。
収入増48億円でさらに積み増し
財政部長は、「令和2年度の約5億円から29億円の増加額75億円のうち、4億円が歳出削減によるもので残りの20億円は歳入増などによるものです。令和3年度の29億円から75億円への増加額46億円のうち、18億円が歳出削減によるもので残りの28億円は地方交付税や地方消費税交付金などの収入増によるものです」と答弁しました。
財政が非常事態だと宣言した1年6か月の間に財政調整基金(市の預貯金)が70億円も増加したことはおかしな話です。市の預貯金が70億円も増加したことは、本当は財政が非常事態ではなかったという事を示しています。支出削減効果は22億円ですが、収入の増加が48億円もありました。「コロナで市税などが減る見込み」とした財政の見通しは全くの間違いであったことは決算審査の中で再度明らかになりました。
(にいざ民報 2022年9月11日 No.1960)