雨宮処凛さん講演会『コロナ禍で進む貧困を考える』セーフティネットの分厚い社会にしていこう

雨宮処凛さん講演会『コロナ禍で進む貧困を考える』

4月9日(土)ふるさと新座館ホールにて、市民が野党をつなぐ埼玉4区の会主催の「雨宮処凛さん講演会」が開催されました。

「底の抜けた日本・コロナ禍で進む貧困を考える」と題して、黒田実樹市議との対談形式で講演されました。

雨宮さんは、2020年3月に貧困問題に取り組む30以上の団体と「新型コロナ災害緊急アクション」を立ち上げ、支援活動を行う傍ら貧困の現場の実態を発信してきました。

4月に立ち上げたメールフォームには、連日切実なSOSが届き続けている。新宿の炊き出しではコロナ前に比べて5、6倍の参加者があり、特に20代から40代の若い人や女性が増えている。生活費が底をついた綱渡りのような相談にあふれ、支援の現場は『野戦病院のような状態』。また困窮していても「生活保護だけは受けたくない」と忌避感から拒否される方も少なくない。この機会に困ったときに使える制度や生活保護など、何がどうなっても生きていけるノウハウを一人でも多くの人に知ってほしい、と強調しました。

女性の困窮の広がりを受けて、女性による女性のための相談会を開催し、生理用品や女性下着の配布、託児所を準備するなどの体制を整えたことや、ペットと一緒に泊まれるシェルターを確保するなど、「反貧困犬猫部」の取組みも紹介されました。

最後に、2016年7月に起きた相模原障害者施設殺傷事件に触れ、凄惨な犯行は絶対に許されないが、その背景には貧困問題や劣悪なケア労働の現場、社会的な孤立等の問題が置き去りにされてきたことにあるのではないか。この社会は本当に命を大切にしてきたのかと問いかけ、自己責任ではなく助け合いの社会をつくっていこうと呼びかけ大きな拍手に包まれました。

雨宮処凛さん


対談を終えて 黒田実樹

雨宮処凛さんは私と同じ「就職氷河期」世代で、受験や就職活動など「頑張っても報われない社会を生き抜いてきた」と自己紹介されました。困窮支援の現場で、コロナ前には出会うことがなかった「住宅ローンを組んでいる」「ペットを飼っている」等の普通に暮らしていた人が炊き出しに並び、窮地に立たされている実態の報告は印象的でした。

命を守るはずの政治は、民間の良心をあてにして本来の責任を果たしていないと感じました。一人でも多くの人と繋がり、セーフティネットの分厚い社会にしていこうというメッセージを雨宮さんから受け取りました。

(にいざ民報 2022年4月24日 No.1943)