福祉の里老人デイサービス廃止、共産党が反対 議決前に利用者へ「廃止文書」は議会軽視
12月3日の本会議で福祉の里老人デイサービスセンターを廃止する条例の質疑が行なわれました。
共産党の石島議員は、「デイサービス利用者の方から、『11月初めに、市から来年6月末で廃止するお知らせが届いた。12月議会で決めるということだが困っている』と電話を頂いて初めて知った。11月5日付けで、廃止の文書を利用者に配ったのは議会軽視ではないか。介護が必要な人が増えるのに、なぜ廃止するのか。福祉の里では手厚いサービスを行い、ヘルパーの方も自負されている。市の事業所があることで、机上のことではなく課題も把握できる。公的サービスの役割をどのように考えているのか」と質しました。市は「文書は政策決定本部での方針決定を受けて、準備行為、廃止を予定するというお知らせである。利用者への配慮は必要だが、議会からも『公的役割は果たした』という声があり以前から課題になっていた。市内には民間の事業所が39あり、費用対効果から廃止を決定した。ケアマネと一緒に利用者宅を訪問して次の事業所を相談している」と答弁しました。
石島議員はさらに「電話を頂いた方は、ふさわしい機能訓練を行うデイサービスは市内に2〜3か所しかないと言われているが、事業所の調査は行ったのか。6月末に急いで廃止する理由は」と質問。市は「市内事業所の調査で、利用者173人の受け入れが可能という回答だった。質の部分には意見があるでしょうが数の上では対応できる。廃止時期については、朝霞市社協のデイサービスが閉鎖した時の移行期間が3ケ月だったので6ケ月とした」と答弁しました。
福祉を費用対効果で考えるのは問題
笠原議員は「他市がやっていない公的なデイサービスをやっているのは問題だと思っているように聞こえるが、他市がやらない公的サービスをやっているのは良いことだという認識はないのか。費用対効果とはどういうことか。議決前に利用者に通知を出すのは議会軽視、市民に執行部と議員の関係はそのようなものだと思わせるようなことをしているのは問題だ」と質しました。市は「民間にできるものは民間にと考える。老人デイサービスを廃止すると利用料収入が無くなるが、人件費の削減で3500万円歳出削減できる」と答弁しました。
与党も手続き上問題と指摘
6日の厚生常任委員会では、質問が相次ぎました。
共産党の小野由美子議員は「廃止を急いでいるわけではないのであれば、市民への通知は議決されたあとで良かったのではないか」と質問。福祉の里センター長は「利用者の状況は日々変化している。円滑に移行するために準備し、あくまでも予定であるということで通知した」と答弁しました。また辻議員の「今後も議会の議決前に、市が必要と考えれば市民にお知らせすることがあるのか」という質問に対し、総合福祉部長は「議会を軽んじているつもりはなく、議会で決定して通知するのは大原則です。議決前に市民に伝えなければいけないことはイメージできていない」と述べました。
他会派の市議からは「提案された条例の趣旨は納得しているが、手続き上、議会の承認が出ないうちに利用者へ手紙が届いた件については別の問題です。廃止の検討についての伝え方に問題があったのではないか。今後の教訓としてどのように考えているか」と質問がありました。総合福祉部長は「ご指摘のとおり、知らせ方についての配慮が足りなかった、お詫びする」と述べました。また「今後の施設の活用についてどう考えているのか」と質問が出され、市は「老人福祉センター、障害者地域活動支援センターは残るので今後検討していきたい」と答弁しました。
質疑の後、与党の賛成多数で廃止条例は可決されました。
(にいざ民報 2021年12月12日 No.1927)