共産党の日中関係「提言」を読んで 三菱商事元常務執行役員(中国総代表)武田勝年さん

一商社マンとして働いてきた人間としては、日中の軍事的対抗が強まる動きがあっても、状況を把握しながらしっかりビジネスをやることに変わりはありません。しかし、現在のように軍事的緊張が高まることは決していいことではない。北東アジア全体の平和と安定を進めることは、大変大事になっていると思います。そこは政治・外交がきちんと対処してほしい。

共産党の今回の提言は、日中で「互いに脅威にならない」という解決の道筋を合意しているのだから、それを双方思いだし動いてほしいというもので、的を射ていると思います。

「提言」にあるように、東南アジア諸国連合(ASEAN)が、北東アジアの安定を求めるのは当然です。彼らの本音は。”米中対立””日中対立”は困ったもので、何とか仲良くやってほしいということです。国力はともかく、ベトナムやインドネシア、インドなど彼らの外交力は非常に高い。彼らと連携することも大事になってくると思います。

具体的に、日中間の前向き打開をどう図るかということになると、中国には権威を重んじる強硬姿勢が前に出やすいという事情があり、日本は日米関係に縛られて独自の動きをしにくいという状況もあります。

日本共産党が、独自の努力をすることにも期待したいと思います。

「日中両国関係の前向きの打開のために」平和と友好に向けた三つの共通の土台

  1. 日中首脳会談の共同声明で「互いに脅威にならない」と合意。(2008年)
  2. 尖閣諸島など東シナ海の緊張について「対話と協議」で解決すると確認。(2014年)
  3. 東アジアを戦争の心配のない平和な地域にしようという「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)に日中両国政府も賛意示す。

【しんぶん赤旗 4月9日より】

(にいざ民報 2023年4月16日 No.1988)