鳫咲子先生講演会「子どもの貧困と給食費無償化」

6月24日(土)新座市民会館会議室にて「新座市の学校給食費無償化とオーガニック給食をめざす会」主催、跡見学園女子大学教授の鳫咲子先生を迎えての講演会が開催されました。テーマは「子どもの貧困と給食費無償化」。概要を紹介します。

鳫咲子教授(跡見学園女子大学)
鳫咲子教授(跡見学園女子大学)

– 給食費未納問題 - 給食無償化のメリット

給食費無償化の目的は保護者の経済的負担の軽減や子育て支援にある。それは子どもに一番のメリット。特に未納や滞納であることに対する心理的負担の軽減になる。また学校にとっては給食費の徴収や未納、滞納者への対応負担の解消、自治体にとっても子育て支援の充実につながる等の効果がある。

公立学校に通うための費用は1年間で小学生約10万円、中学生17万円もの負担。物価高騰の中、給食費の値上げに向かう自治体と無償化に向かう自治体、どちらを選ぶか注目される。

就学援助制度の限界

就学援助を受ける小中学生は7人に1人と言われるがコロナ不況下にあっても利用者の割合が増えていない。貧困層と言われる158万円以下の所得で、本来100%就学援助を利用されるべきだが実際は6割に満たない。都道府県別に見ても埼玉県の小中学生の就学援助率は平均以下という現状。制度自体に限界があるのではないか。その点でも無償化を進めるべき。

給食費無償化

給食費無償化に必要な財源の試算は小学校3237億円、中学校1883億円、合計5120億円。葛飾区では全会派から給食無償化の要望が出され、区長が採用した。

韓国の例から – 選別的福祉 → 普遍的福祉ヘ

韓国で給食が始まったのは日本より後だが、無償化するスピードは早く、現在は高校生まで給食が出る。就学援助等による「選別的福祉」は、子どもの心を傷つけるとの考えから、子どもを区別しない無償化「普遍的福祉」に移行。地元産の親環境農産物(オーガニック)を学校給食に使用することを支援する「学校給食支援条例」を制定している。

最後に、「保護者負担の軽減をして質を向上させよう。子どもの食支援に地元農産物を活用し、就学支援制度の周知の強化を」と訴えました。質疑応答や感想交流も行われました。

鳫咲子先生講演会「子どもの貧困と給食費無償化」

(にいざ民報 2023年7月2日 No.1997)